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第2話 / 全5話 · 270字 · 約1分
取材を進めるうちに、私は奇妙な違和感を覚え始めた。

 この一族は、死を恐れているのではない。
 “三十”という到達点そのものを拒絶している。

 誕生日が近づくと、家族は門を封じ、夜を明かす。
 だが誰も三十の朝を迎えたことはない。

 悠真は言った。

「“あれ”は、三十という区切りに反応するんです。年齢ではない。通過儀礼のようなものに」

「“あれ”とは?」

「外にいるものです」

 その夜、私は確かに聞いた。

 門の向こうから、低い囁き。

 ――三十が来る。

 背筋が凍った。
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