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胆戦心驚一族

第5話 / 全5話 · 308字 · 約1分
本は出版された。

 題名は『胆戦心驚一族』。

 やがて噂が広まる。
 本を読んだ者が、三十を前に事故死する。
 門の外から声が聞こえると訴える。

 出版社は否定した。偶然だと。

 だが私は知っている。

 あの手記の意味を。

血縁ではなく、認識こそが継承なのだ。

 私は書いた。
 読者は読んだ。
 そして、渡った。

 今日、私は三十になる。

 門の外に、立っている。

 声がする。

 ――三十が来る。

 違う。

来るのではない。

 もう、広がっているんだ。

 私は笑った。

 「私はもう、一族の最後ではない」と。
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