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06_chapter6

第7話 / 全11話 · 1,081字 · 約3分
# 第6章 告白未満

## 1

告白してから、何が変わったか。

正直、ほとんど変わらなかった。

教室では相変わらず隣の席で弁当を食べるし、放課後は一緒に帰る。たまに休み時間に目が合うと、お互いに変な笑顔になる。それだけだ。

亮太にはバレた。

「お前ら、付き合い始めた?」

「……別に、まだ」

「まだってことは、そのうち付き合うんだ」

「そういう問題じゃ……」

「あのなあ。告白して、両想いで、毎日一緒に帰ってて、まだ付き合ってないってどういうこと?」

言われて、颯太はハッとした。

確かに。俺たち、付き合ってるのか?

いや、好きだとは言った。好きだとも言われた。でも「付き合おう」とは言っていない。

「……まだ、ちゃんと言ってなかった」

「はあ? 何を?」

「付き合ってくださいって」

亮太が呆れた顔で天を仰いだ。

「お前……そりゃそうだろ。ちゃんと言えよ。林さん、待ってるんじゃないの?」

## 2

その日、帰り道。

「ねえ、颯太。今日、ちょっと寄り道しない?」

「いいけど、どこに?」

「うーん。あ、あの公園」

指さされたのは、駅前の小さな公園だった。ベンチがあり、噴水があり、夕方には小学生で賑わう場所だ。

今はもう、誰もいなかった。

## 3

ベンチに並んで座る。夕日が二人を包んでいた。

「なんかさ」

林が口を開く。

「私たち、付き合ってるのかな」

心臓が、止まるかと思った。

「……俺も、それ考えてた」

「そっか」

「……桜は、どう思う?」

林が顔を上げる。夕日が、その瞳に映っていた。

「私は——」

彼女が言いかけたとき、スマホが鳴った。

「あ、ごめん。お母さんからだ」

電話に出る林。何やら急用らしい。

「ごめん! 急に呼び出されちゃった!」

「あ、うん。いいよ」

「ごめんね。また明日!」

林が急ぎ足で去っていく。振り返って、手を振る。

颯太も手を振り返した。

——また、言えなかった。

## 4

その夜。颯太は布団の中で何度も練習した。

「付き合ってください」

「俺と付き合ってくれませんか」

「好きです。付き合ってください」

どれもしっくりこない。でも、このままじゃいけない。

明日こそは。

そう決意して、目を閉じた。
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