〜第2章・「永劫」に囚われる遺跡〜
第2話 / 全8話 · 3,960字 · 約8分
第6話 時の谷、囁く
火光「はぁ、昨日は大変だったぜ」
そう、昨日は天の島で、厄災のコアを壊すという超ビッグイベントがあった。
キュウ「何言ってるんですか火光さん。今日もきっと大変ですよ。」
キュウの言う通り、今日も平和のために行かなければならない。どこに行くかって?えっと...
火光「そういや女帝が言ってたコアの場所、どこだっけ?」
ピイ「駄洒落の谷だったような...うーん、よく覚えてないや」
キュウ「邪落の谷!漢字は似てるけど、全然意味違うから!」
火光は本来まだまだ寝ていたかったが、この2人の会話を聞いているとなんだかやる気が湧いてきた。
火光「んじゃあさっさとコアを破壊しに行こうか。そして今夜こそいっぱい寝r…ゴニョゴニョ」
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ということもあり、俺たちは谷の奥へ進んでいる。空は曇っていて、空気が重い。細い木がいっぱい倒れていて何度もつまずきそうになる。
キュウ「だんだん霧が濃くなってきました。気をつけて進みましょう。」
火光「そういやここの霧は緑色ぽいなぁ。いいねえ!ダンジョンって感じがする。」
しばらく進むと少し霧が薄くなった。
細い木がいっぱい倒れているので、つまずかないように注意して歩く。
火光「あれ?この倒木、さっきも見たぞ?」
ピイ「きっと火光のことが好きなんだよ!」
いや、植物に好き嫌いがあってたまるか。
キュウ「そんなことより、霧が濃くなってきました。気をつけて進みましょう。」
俺は、このセリフを聞いて、何か良くないものを感じた。
火光「それ、さっきも言ってなかった?」
同じ景色。同じセリフ。俺は昔、ゲームでこのような演出を見たことがある。いわゆるループゾーン!しかしこんなことで慌てるほど愚かではない。俺はすかさず、倒木に切り込みを入れた。そしてしばらく歩くと...
「時間に抗う者よ…その足取りは、すでに記されている。」
頭の中から誰かの声が聞こえた。
気がつけばピイとキュウの姿はそこに
無かった。
第7話 やるべきこと
1人になってしまった俺は、叫ぼうとした。しかし、空気が重くて喉がつっかえてしまう。
仕方がなく、1人で歩くことにした。すると、前方に見覚えのある子供が座ってゲームをしている。
火光「お前...」
その子供は、俺だった。この世界に来る前の、冒険用の服ではない、私服を着た俺だった。相手の俺は、落ち着いた口調でこう言った。
「あの世界の僕はもう生きていない。あそこに戻ってはいけない。僕がこの世界で何をするのが正解か、誰を信じるべきか、よく考えて。この物語、ハッピーエンドにもバッドエンドにもできるよ」
その声とともに、もう1人の俺の姿は緑の霧に包まれ、消えてしまった。
俺はなんだか怖くなって走った。息が苦しい。ついに疲れて、地面にうずくまってしまった。その時、
「大丈夫?」
優しい声が響いた。
俺は見上げると、そこにはピイがいた。しかし、よく見ると俺が知っているピイではない。俺より4歳ほど年上のピイだった。
ピイはこう言った。
「私は4年前、この谷で道に迷った。けどその時、未来の火光が助けてくれた。だから今度は私が助ける番。ほら、案内してあげる。」
俺は手を引かれて、光のように谷の奥の、霧のない場所へ導かれた。
しばらくすると、聞き慣れた2人の声が聞こえてきた。なんだかとても懐かしく感じる。いつのまにか俺たちは遺跡のような建造物の前にいた。2人の話によると、俺は20分程度、ここで寝ていたらしい。
俺はもう、こんな怖い場所から帰りたいと思った。だが、平和のための冒険。それを考えると先へ進む以外なかった。
第8話 覇刻の間
なんとなく予想はしていたが、遺跡の中は静かで、音が吸い込まれるような不気味さを感じた。
それどころか、生き物の気配すらない。
キュウ「!?...この遺跡の奥から異常なエネルギーを感じます。やはり厄災のコアの持ち主はここにいるようですね。」
ピイ「けど、なんだかおかしいね、天の女帝の時は、こんなエネルギー反応なかったのに」
火光「おい!ここの壁に文字が書いてあるぞ!解読できないか?って、うわ!この文字動いてやがる!」
キュウ「僕もこの文字は初めて見ました。きっとここに古くからある文明だと思います。」
読むのは諦めよう...お?これ、絵ならなんとなく分かるんじゃね?
火光「すげえ!この槍を持ってるやつかっけえ!あ、こっちには魔女みたいなのもいるぞ?」
ピイ「絵を見るのもいいけど、そろそろ奥に進まない?なんだかここにいると時間感覚がおかしくなりそう。」
俺はしぶしぶ奥へ進んで行った。
キュウ「この部屋の中から膨大なエネルギーを感じます。気をつけてください。」
ついに来たか!さあ!戦うぞ!そう意気込みをかけて、扉をあける。
しかし、部屋の中は想像とは少し違った。びっくりするほど何もない。コケすら生えていない。あえて言うなら、1つだけ長細い古びた箱が置いてある。
俺はその箱を開ける。
そこには、カラカラに干からびた何かと、厄災のコアらしきものが入っていた。
第9話 再動
なんだ、激アツのバトルが始まったと思ったが、コアの使用者はすでに滅びていたのかよ。俺は、キュウからもらった剣を、コアに向かってふるった。
その時、干からびたものが全身緑になり、次の瞬間、目の前にいかにも凶悪そうな悪魔が飛び立った。左目が異様な光を放っている。これが厄災・覇刻のコアの使用者の真の姿か。
刻羅「我は刻羅なり、幾千年前からお前達のことを見ていた。そして、再びこの時は来たる。」
あまりの威圧感に、俺は耳を塞いだ。しかし刻羅の声は嫌でも聞こえてくる。
ああ、これが、俺が本当に望んでいた戦いだ!こんなボス戦、ゲームで何回やったと思ってんだよ!それに俺は天の女帝に勝っているんだ!負けるわけねえだろ!
先手必勝!俺はすかさず刻羅の後ろに周り、
「光剣解放!聖光斬!」
輝く剣は刻羅の頭を貫通し、厄災のコアにヒビを入れる。
...これが理想だった...あれから何回この戦いを繰り返しただろう、攻撃が当たらないどころか、相手に動きを読まれていて、反撃される。敵の攻撃パターンを覚えても、うまく体が動かず避けれない。ようやく一撃入れたと思った次の瞬間には、その傷は消えている。
これは、永劫の時に囚われている感覚だ。
刻羅「厄石降臨...源流の理」
ああ!またこれかよ...!
ていうか、こいつなんでエネルギー切れにならないんだ!何食ったらこうなるんだよ!
刻羅「...天の女帝を倒して自信を持っていたみたいだが、非常に残念だ。あの女帝は所詮、厄災のコアに操られていた存在。何も力を使いこなせていなかった。あいつは少し優れた人間のようなものだ。我は違う。我は何年もの時を経て、コアを覚醒させた。お前達が勝てるような相手ではない。」
確かに、こいつは今までの相手と違って、コアの力をしっかり使いこなしている。的確なタイミングで能力を発動させてくる。
俺とキュウの共鳴、そしてピイの光のバフをかけても勝てないわけだ。
剣の斬撃だけでは勝てない...何か他に方法は...
第10話 未来のための「選択」
俺は、昔から友達がいなかった。だから、いつも家にこもってゲームばかりしていた。けど、それはそれで楽しかった。ゲームの中のキャラクターとともに冒険したり、理不尽に強いボス戦に何度も挑戦したり、気づけば、俺はゲームだけが取り柄になっていて、現実世界の人間は誰も信じられなくなっていた。
この記憶が今、核羅との戦いの中で蘇った。なぜこのタイミングで?その答えはすぐに分かった。
火光「光剣解放!スターバースト!」
広範囲に強い光撃が轟く
刻羅「グハッ!」
俺は共鳴相手であるキュウと、エネルギーを供給してくれるピイのことを、信じきっていなかったが故に、力を引き出せていなかった。
せっかく友達ができたんだ!全力で信じるしかねえだろ!
そう思うと、剣のエネルギーがさらに増してゆく。
火光「よお刻羅!範囲攻撃なら動きを読んだところで避けれねえだろ!」
刻羅「厄石降臨!源流...ぐああ!」
俺は、さっきとは段違いの速度で切りかかった。ここまで速く動けたのは、正直自分も驚いた。
火光「どうやら攻撃速度は俺の方が上みたいだな。発動できてないぜ?しかも傷も治ってない。さっきの一撃でエネルギーを酷使したか?」
刻羅「哀れだな」
俺が話しているうちに、後ろにいるピイとキュウに攻撃しようとしたらしい。だが、
「光剣解放!天背の柱!」
光の柱によって、その攻撃は全てかき消された。
火光「剣だから間に合わないと思ったか?その言葉、そのままお返しするぜ!哀れだな!」
核羅はついにエネルギーが尽き、動けなくなった。
このままこいつの頭を斬ればコアを破壊できる!
だが、刻羅を倒すことは、本当に平和を目指す者がすることなのか?
そのような考えがよぎった。
キュウ「何してる!速くコアを破壊しろ!」
俺はどうするのが正解かわからなくなった。しかし、すべてのコアを破壊することを目標にしている以上、こうするしかなかった。
パリン
遺跡に漂っていた重い空気は消えた。霧が晴れて見通しも良くなった。俺はなんだか、ふわふわ浮いている気分だ。いつか、この心が定まる時が来る。そう信じていた。
to be continued