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さいど、出会う日まで

2,965字 · 約6分
いつものように少し汚れた靴を履き、家から出る
「行ってきます」
そう言って学校へ向かった

今にも転びそうに歩くおばさん
カラスの集まるゴミ捨て場
妙に長い信号機
カードゲームの話をしている小学生
刺激の無い景色に足は意識せずとも動く、太陽の光は帽子のつばで遮られいるが熱さは伝わって、ようやく気付く夏
つまらない道
その中で目に付くモノがあった
綺麗な女の子、同学年だろうか
退屈な通学路に見合わない容姿だった
、、、信号機が長い

休み時間、珍しく教室の外に出て他のクラスを扉から覗いた
あの子を探しているのだ、なにかを感じたから
順々に見ていき、1組に例の子がいた
なぜ今まで気づかなかったのだろうか
しばらく見つめていたが、周りの視線を気にしてそそくさと自分の教室に戻った

放課後みんながゾロゾロと帰る中、あの少女を見つけてしまった
自意識過剰だ、彼女が自分を見ている気がする
いや、そんなことはない、早く帰ろう
「あの――」
「え、、俺ですか?」
びっくりした、まさか呼び止められるとは、
「これ、移動教室の時に忘れ物してましたよ。」
「ああ、ありがとうございます、、」
「物部さんって言うんですね。私は西藤植香って言います。よろしく。」
「こちらこそ、それじゃあ」
「待ってよ、帰る方向一緒でしょ、信号で見たんだから。」
「そこまで一緒に帰ろうよ。」

なぜか一緒に帰ることになってしまった
その可愛らしい容姿に胸の鼓動は止まらない
通学路は少し遠い方だ
なのに、
「あーここまでだね、バイバーイ。」
あの信号まで、彼女との別れの地点まではとてもすぐに感じた
そして、空も酷く青く見えた

その後の俺達は親友として色んな所で、色んな場所で遊んだ
日々に色がついた
作品のような毎日だった
学校も西藤と一緒だと楽しく感じた
今日も幸せな気持ちで歩く
いつも通りの風景も明るいように見える
朝がこんなに綺麗に見えるのも彼女のおかげだろうか
でもそんな浮かれていられるのは、今のうちだけだとその時は気が付かなかった

学校についた
でも彼女はいない
毎日朝は話していたのに
休み時間になるまで心にモヤがかかっていた
ハキハキとした先生の声も、ごもっている

休み時間、いつものように1組へ行った
でも、そこに西藤は居なかった
どうしてどうして
頭の中は真っ白になり、その後のことは覚えてない
そのまま頭に入らない授業も終わり
帰り道ではあんなに楽しかった下校が苦しいものに変わっていて
信号の赤青すら、見分けられなくなっていた

家で机の上を見ると見知らぬノートの切れ端があった
親?
もうなにもしたくなかったが読んだ
「物部 加玄君へ
突然だけれど、ずっとあなたに隠してたことがあります。
私は実は人間では無いんです。
人間の記憶や時間を食べる魔物、歴食魔なんです。
だから、あなたとの思い出も栄養分にしてしまっていました。
信じられないと思うなら、少し思い出してみてください、私との日々を。
今まで黙って、あなたの貴重で楽しい大事な美味しい思い出を、食べてしまって、ごめんなさい。
私は少しこの地を離れます、また会った時はちゃんと楽しい思い出を残しましょう。」

俺は、確かにたくさん西藤と遊んだはずだ。
おかしい、彼女とした色んなことが思い出せない
ああ、ああ、もう食べられてたのか、最初から、
俺の脳には西藤との楽しかった、それしか覚えていないたくさんの思い出があった
仲良くなったのも、食事の為だったのだろうか、

そのからの俺の生活は無意味なものとなってしまった
いや、戻ってしまったのだ、彼女が居ない生活に
西藤が居なければ良くも悪くも周りの事がどうでもよく感じてしまった
彼女が居なかった時もこんなだっただろうか
そんな事を考えると、少し眠れなくなってしまう
たまにあるのだ、人生にこんなに色が無くて、悲しくないのに、悲しくないのに枕が濡れることが
早く寝なきゃ、俺にも、明日があるんだ、


起きた
もう何度目の朝だろうか黒く、白い、世界が広がっている
靴を履き、家を出る、白い白い光と似合わない自分の心
彼女がいなくなって、より現実が暗くなった
それでも足は動き、学校へ向かう。西藤が居ない学校へ
ゴミ出しをするお爺さん、今日も生意気に生きているたんぽぽ、走っている小学生
いつものけしk
ドン
「キャ!」
「すいませんよそ見してて、って」









西藤side
いつも歩いてる道は季節の訪れと共に少し熱を帯びている。
学校は特にワクワクはしないが、行かないといけない、当たり前の事。
登校中、信号で変な少年を見つけた。
いや、変ではない。ただ、他の同級生とは違い少し顔に明るみがない。
気になって目で追ってしまった。
、、、、暑い、、、より一段と、夏が迫ってきた。
彼とは趣味が合いすぐ仲良くなれた。
一緒遊んだり、楽しい日々が続いた。
休み時間に人目がつかないところで遊んだり、一緒にゲームセンターに行ったりした。
でも彼は「忘れんぼう」と言えない程に記憶がすぐ抜ける。
友達にそれとなく聞いてみると、そういう病気を持っているらしい。それなのに学校生活をやっていけてるのはやはりもともと持っている要領の良さだろう。
頼りないと思っていたのだが、もっと彼を支えなきゃ。
それからの日々は私達にとって、とても楽しく、無駄なものだった。
夏祭りにも行った。
屋台がたくさんあって、いちご飴も2人で買った。
くじも引いたが当たったのはただのノートで笑い合ったりもした。
それでもたくさんの思い出ができた、思い出が。
花火がとても綺麗だった。

彼の親にも話を聞けた。
よほどのことじゃなければ、すぐ忘れてしまいやすく、病気の事も彼には言えてないらしい。
それでも大好きな彼と一緒に居られるだけで良かった。
普通ならすぐ忘れられる存在なのに。

急遽、引っ越しが決まった。親の仕事の都合だった。
引っ越す際、私は2つ、罪を犯してしまった。
1つは彼の家に勝手に入ってしまったこと。
もう1つは彼に嘘をついてしまったことだ。
どうしても彼には私のことを忘れて欲しくなかった。
しかも彼は自身の病気について知っていない。
学校でもひとりぼっちだ。
彼の親から、頼まれたのだ。どうにか病気のことを本人にはバレないようにしてくれって。
私には好都合だ、貸しもできたし彼の印象にもより残る。
そうして、あのノートを1枚破り、、

ついた側だが、まさかあんな嘘でも信じてしまうとは。
やはり、私が守ってあげないと。
またこの場所に戻ってきた。リュックには教科書とたくさんの“思い出”を入れて
ここは彼の通学路だ。彼は昨日寝るのが遅くなってしまっているから少し遅く来るはず、
、、、っ!!今!!
ドン
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