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第11話 / 全11話 · 896字 · 約2分
# 第9章 朝が来るたびに
## 1
朝、目が覚めた。
見慣れない天井。隣で、桜の寝息が聞こえる。
颯太はゆっくりと体を起こして、彼女の寝顔を見つめた。整ったまつげ。すうすうと規則正しい呼吸。肩から掛け布団がずれていて、白い肌がのぞいている。
昨夜のことを思い出して、顔が熱くなった。
「……ん」
桜が、ゆっくりと目を開けた。
「……颯太?」
「おはよ」
「……おはよ」
桜が恥ずかしそうに、布団を引き上げる。その仕草が、たまらなく可愛かった。
「……覚えてる?」
「……覚えてるよ」
「……私も」
沈黙。でも、嫌な沈黙じゃない。
「……風呂、借りていい?」
「うん。タオル、新しいの出しとく」
## 2
朝食は、桜が作った簡単なトーストとスクランブルエッグだった。
「味、薄い?」
「いや、美味い」
「よかった」
向かい合って食べる朝ごはん。たったそれだけで、世界で一番幸せな気分になった。
「……今日、何する?」
桜が聞く。
「んー……どこか、出かけるか?」
「うん。でも——」
「でも?」
「その前に、もう少しだけ、こうしてたい」
桜が、テーブルに置いた手を伸ばしてくる。颯太も、その手を握り返す。
「……そうだな」
## 3
それからの週末は、どちらかの家で過ごすことが増えた。
映画を観て、キスをして。料理を作って、食べて。シャワーを浴びて、またキスをして。
その一つ一つが、確かに二人を深く結びつけていった。
「ねえ、颯太」
ある晩、桜が颯太の胸に寄り添いながら言った。
「私たち、このまま大人になるんだね」
「そうだな」
「ずっと、一緒?」
「ずっと、一緒だ」
「約束」
「約束」
颯太は、桜の額にキスを落とした。
窓の外では、東京の夜景がきらめいている。この街のどこよりも、この部屋が、一番温かかった。