表示設定

文字サイズ
行間
フォント
背景
文字方向

〜第4章・正義とは〜

第4話 / 全8話 · 6,564字 · 約14分
挿絵
第16話 世界の理
俺とエリスがこちらの世界へ戻ると、ピイとキュウが、嬉しそうにこちらを見ていた。
キュウ「エリスさん!無事助かってよかったです!」
へ?なんでこいつらエリスのこと知ってんの?
事情を聞くと、ピイとキュウは、混沌に囚われていたエリスの「想い」によって生み出された存在らしい。そして、俺をこの世界へ導き、ともに戦うことを頼まれたとのこと。
そういう大事なことは最初に教えて欲しかったな!
エリス「7つの厄災のコアのうち、残っているのは4つ。そのうち2つは知っているよ。神判のコアと霊魂のコアだね。あと2つは、この世界にはないみたい...」
火光「マジかよ!?2つ分かっただけでも十分すぎるぞ!?」
エリス「けど、私が知っている限り、これから先の戦いは今まで以上に厳しくなりそう。だから、そのために1つ考えがあるの!ここから北にある荒野で、[正義の大剣]を得ることが出来たら、きっと役に立つと思うんだけど。」
ほお、なるほどね。
ピイ「それなら知ってるよ!今年のコロシアムの優勝景品が[正義の大剣]らしい!」
そんなに重要そうな剣が景品にされてたまるか。
しかし、少しでも戦闘力を上げたい俺たちにとって、狙わない理由はない。結局、コロシアムに参加することにした。

第17話 風の聖石
コロシアムまでの道中、辺り一面荒野。それは想像以上に過酷な旅だった。空気が乾燥していて、気が狂いそう。これがゲームの世界なら、気にせずにダッシュできるのに...
少しでも気を紛らわせるために、話しながら歩くことにした。
火光「そういや、エリスのコアは、他のコアとは雰囲気が違うけど、どんな能力なんだ?」
エリス「これの正式名称は風の聖石って言うんだけど、どうやら厄災のコアはこの力を警戒しているみたい。今は、風に関する魔法がいろいろ使えるよ。見てからのお楽しみってことで。」
やはりエリスは厄災のコアについて詳しい。長い間囚われていたからだろうか。

コロシアム会場に着いた。
???「おいおい!そこの若者達!お前ら初参加か?あ?」
さっそく来た。どうして実力がないやつに限って初参加勢を煽るのか、理解が出来ない。
ハロルド「おいおい!まさか無視するんじゃねえだろうな!この連続優勝者ハロルド様に声をかけてもらってるんだぞ!」
めんどくせえ
火光「いや、優勝履歴見たけど、ハロルドなんて名前どこにも書いてないぞ。」
ハロルド「アホか!俺がわざと名前を伏せておくように頼んでるんだよ!真の強者は名を名乗らない!それがこの地域の理だ!!!」
アホはどっちだよ...
なんとか振り切ったようだ。
キュウ「このコロシアムは原則1対1ですが、火光さんがこの剣を持っていれば、力を送ることができるので安心してください。」
キュウはこういう時に本当に頼りになる。
数分後、1回戦の対戦相手が発表された。

第18話 もう、1人じゃない
1回戦直前、俺は中央のバトルエリアに立った。
ハロルド「残念だったな!若者!最初の相手がこのハロルド様だなんて、なんと哀れだ!少しかわいそうだが、ここは勝たせてもらおうかな!」
火光「...さっさと終わらせるか...」
ピー!
バトルスタートの笛の音が聞こえた。
( ゚∀゚)・;’.、グハッ!
それと同時に、体に重い雷撃が走った。
さらに、頭上から斬りかかってくる。
俺はなんとか体を動かし、回避したが、その一撃はあまりに重く、衝撃で吹き飛ばされた。
ハロルド「へっ!ちょっと本気を出せばこんなもんだい!今のうちに降参したほうが身のためだぜ?」
嘘だろ...!こういうやつ、だいたい雑魚キャラだと思ってた。
ハロルドは腕を組んでこちらを見下ろしている。その隙に俺は反撃する。
ハロルド「うお!今攻撃するのは反則だろ!」
アホなことは事実なようだ。
長いセリフを言っている間に、俺は容赦なく攻撃する。
「光剣解放!聖光斬!」
俺のエネルギーが少なくなったが、ピイが遠くから供給してくれるため問題ない。
ハロルド「舐めてんじゃねえよ!迅雷解放!刹那断!」
速い!光で威力を吸収していなければ体が真っ二つだった。
ハロルド「まだまだいくぜ!刹那断6式!」
このままじゃ負けてしまう!その時、俺の周りだけ風が吹き始めた。体がさっきよりも軽く、速く動ける気がする。俺はこの風を頼りに、戦場を暴れ回るハロルドの技を避け続けた。
ハロルド「はぁ、はぁ!なんでしぶといやつだ!」
ハロルドはついにエネルギーが切れて技を使えなくなった。
俺は、傷つけない程度に、優しく気絶させて勝利した。この勝利は、俺1人では得ることが出来なかっただろう...
その後、2回戦、3回戦、準決勝も勝利し、次は決勝戦だ。どんな相手が待っているのだろうか。

第19話 炎の戦士
決勝戦前、俺たちは対戦相手の情報を、敗北した者たちから集めた。聞いた話によると、「炎を操る」「刀、斧、槍、弓の4つの武器を使いこなす」ということは確実だろう。とにかく強そうだ。
ついに戦いが始まる。俺は中央のバトルエリアに立つ。
え?こいつが?
俺の前に立っていたのは、想像よりも幼い少年だった。俺よりも年下だと思う。だが、多種の武器を背負い、赤色のコアを持っていることから、対戦相手はこいつで間違いなさそうだ。
レイリュウ「火光さん!対戦よろしくお願いします!俺はレイリュウですよ!」
俺の名前を知っている...相手も事前に情報収集していたか。
火光「対よろ!これは楽しくなりそうだ。」
ピー!
バトル開始の音が鳴る
レイリュウはどっかのハロルドと違って、最初は慎重にエネルギーを貯めている。
ならばこちらから攻める!
「光剣解放!スターバースト!」
レイリュウ「は?」
よし!やはりエネルギーを貯めてるうちは防御出来ない!
!?...気がつけばレイリュウの姿がなかった。
いつの間に後ろに!?
レイリュウ「赭石解放!激炎斧!」
俺はとっさに剣で斧の攻撃を受け止める。
その時、俺の剣が折れてしまった。
今はキュウがそばにいないため、剣をもらえない...
レイリュウ「どこ見てるんですか火光さん!赭石解放!流火の矢!」
レイリュウの攻撃は容赦なく続く...
俺のポケットから、冒険用の日記が落ちる。いや、意図的に落ちた。それは、エメラルド色のオーラを放っている。
俺は察した。
日記を開くと、そこには魔法の呪文がいくつも光っていた。
火光「風聖解放!セイグリッドクラッシュ!」

第20話 これが現実
レイリュウの周りに風の衝撃波が炸裂する。
レイリュウ「なんだと!?まだ武器を隠し持っていたか!」
相手は確実に怯んでいる、俺はさらに攻め込む。
「風聖解放!カタルシス・トルネイド!」
発動まで少し時間がかかる。しかし、これが当たれば確実に勝てる!
その時、
「赭石解放...夕闇ニ散ル烈火」
( ゚∀゚)・;’.、グハッ!
目に見えないほどの斬撃が奔る...
レイリュウ「攻めすぎましたね火光さん」
痛い!ピイから受け継いだエネルギーで回復させるのでやっとだ...
レイリュウは今、明らかに油断している。勝ちを確信したのだろう。ならば...!
「風聖解放...フルフォース・ブレイド」
俺は、ピイからもらったエネルギーを回復に使わず、すべてこの斬撃に込めた。
不意をつかれたレイリュウは倒れる...
しかし、それよりも先に、俺の意識が飛んだ______

コロシアムに治療の専門家がいて、なんとか助かったが、どうやら俺が先に倒れた判定で、レイリュウが優勝したらしい。
俺はキュウと2人で座っていた。
キュウ「火光さん...さっきの戦い、最初から風の力を使っていれば、勝てていたかもしれません。エリスさんと再会できた今、僕の存在に意味はあるのでしょうか?」
俺は少し驚いた。キュウは本当に真面目な性格だ。
火光「存在の意味があるかないかだなんて、自分で決めるようなことじゃないと思うよ。君にしかできないこともあるし、隣にいるだけで安心できる。俺にとっては、大切な仲間だよ。」
キュウは少し嬉しそうな顔をした。
ピイ「おーい!報酬の授与が始まるよー!」

第21話 神の怒り
コロシアムの中央を見ると、正義の大剣が乗っている台があった。レイリュウがそれに手を伸ばす。
その時、とんでもなく遠い場所から声が聞こえた。
「厄石降臨、天崩の大槍」
空から巨大な槍が大地を突き刺す。
それは正義の大剣に直撃し、大剣は砂のように崩れ落ちていった。
さらに、地面に大きな亀裂が入る。レイリュウは足を踏み外し、深い亀裂に落ちそうになる。俺はすかさずレイリュウの手を掴み、引き上げた。
エリス「ポセイドンの槍!?どうしてここに!」
どうやら、本来陸から遠く離れた海域にいるポセイドンが、この地を攻撃したようだ。
レイリュウ「ウワアアアアアアアアアア!!俺の正義の大剣が!!ポセイドン許さねえ!!火光さん!一緒に倒しに行きましょう!」
火光「おう!とは言っても、どうやって行くんだ?」
エリス「私に任せてください!ついてきて!」
俺はちょっとワクワクした。もしかして鳥とか召喚してくれて、それに乗るとか、それとも、シューティングゲームみたいな展開きちゃう!?
エリス「この船で!天罰の海域まで行きましょう!」
いや船かよ!!王道!そしてこの状況で船はもう沈むフラグやんけ!
俺たちは船に乗った。
エリス「さあ!この風とともに!」
船の後ろから追い風が吹く。ものすごい勢いで吹く。確かにこの速さならすぐに着きそうだ。しかし、あまりの速さに俺は酔った。船酔いとかのレベルじゃない。そしてなんで俺以外は平気なんだよ!やばいって!
俺は、みんなとは違う意味で少しでも早く到着することを願った。

第22話 神はいない
海域に到着すると、エリスは船から飛び降りた。
エリス「聖石解放!フルウィンド・ゼロ!」
すざましいエネルギーとともに、周りの海の水は消え、巨大な石碑が姿を現した。
石碑は割れ、中から槍を持った人型の機械が出現した。ポセイドンって機械だったの!?
ポセイドン「この世界に神などいない。我は全ての神の力を託された神判のコアの主。」
全ての神の力だと!?
ポセイドン「圧倒的な力を前に、ひれ伏せるがいい。それとも我を鎮め、神殺しの罪を背負うか?」
神に勝てるチャンスなんて滅多にない!神判のコア!ここで終わらせる!
火光「行くぞ!」
レイリュウ「お先に行かせてもらうぜ!」
ポセイドン「愚かな者たちよ...」
大量の大蛇が襲いかかる。
火光「キュウ!エリスも!頼むぞ!」
ここで初めての試み、しかしなんとなく成功する気はしていた。キュウの剣、そこにエリスの風エネルギーを付与する。
「風剣解放!ジェイドスラッシュ!」
大蛇は一瞬にして崩れ落ちる。
しかし、次は時空の歪みとともに骨の馬たちが襲ってくる。
ピイ「アンデットは私に任せて!パニッシュメントバースト!」
ピイって攻撃魔法あったのか!?
ポセイドン「争うか...ならば、こちらもそれ相応の対応をしよう...」

第23話 天罰
敵の攻撃を対処できている!このままいけば勝てるぞ!
ポセイドンの頭上に巨大な風の渦が発生する。これがエリスの必殺技か!いや、すごすぎるだろ!
火光「やるじゃねえかエリス!これでオーバーキルだぞ!」
しかし、思っていた反応と違った...
エリス「違う!私、こんな魔法知らない!」
レイリュウ「冗談はやめてくださいよ!エリスさん以外に、誰があんなの出来るんですか!」
ポセイドン「神に抵抗した天罰よ...汝らに吹き翳せ!」
え、うそ、これ敵のこうげき?あ、終わった。
レイリュウ「攻めすぎましたねポセイドンさん!赭石解放!夕闇ニ散...ギャア!」
レイリュウは、渦が襲いかかる前に倒すつもりだったのだろう、しかし、無数に飛び交う神々しい槍はそれを見逃してはくれない。
気がつけば、俺たちの体は吹き飛ばされていた。終わりだ______

しかし、まだ終わっていなかった。目が覚めると、俺たちは全員薄暗い森の中にいた。
そこには、見覚えのある黒い男が立っていた。
ニンニン「へっ!俺がいなきゃ今頃お前らは海の一部だぜ!」
どうやら、ニンニンのワープゲートによって、俺たちは全員同じ場所へ避難できたらしい。これには本当に感謝しかない。
ニンニン「安心するのはまだ早いかもだぜ?」
空を見上げると、槍を持った機械が宙に浮かびながらこちらを見ていた。

第24話 争いの目的
ここからでも威圧感を感じる。今まで出会ったどの敵よりも強い。俺はこの時、鳥肌が立った。
ポセイドン「厄石降臨!ジャッジメント・トライデント!」
大規模な雷の槍が大地を焦がす。森だったはずのこの場所は、燃える戦場となった。
それを見て、俺の心も燃える。
ポセイドンは勢いよく地面に降り立つ。
今なら、相手の細かい動きのクセやパターンを全て覚えられる気がした。
複数の槍がこちらへ飛んでくる。
進行方向を計算し、全て避けつつ距離を詰める。
相手は離れようとする。
しかし、すでに脚部に剣を刺していたため逃げられない。
その時、俺は俺自身の能力を初めて発動させる。
「闇星解放!破滅星(カタストロフィノヴァ)!」
ポセイドンは機体に大きな損傷を受けた。
さらに攻める。
「闇星解放!深淵響(リフレインアビス)!」
ついにコアが剥き出しになる。
そこにすかさず拳を入れる。
その拳は、異常なほどに重かった。
ポセイドン「あぁ、平和を目指す者よ...それがお前が本当に望んでいることか...」
パリン
ポセイドンの最期の言葉を聞いて、俺は我に帰る。それと同時に、強烈な頭痛が襲う。

第25話 未来は変えられる
...ここはどこだ、
真っ白な景色の中に、俺は1人で立っている。いや、1人ではなかった。俺の目の前には、仮面を被った少女が立っている。
???「あなたは、闇星の力を解放してしまった...どうして使ってしまったの?」
少女の声は、少し怒っているように聞こえる。俺はこう答えた。
火光「俺は昔からゲームが好きだった。圧倒的な強さの敵に、打ち勝つのが好きだった。この世界でも、その感覚で戦った。その時に...」
???「真実を教えよう。この物語は何度も繰り返されている。しかし、一度も君の望み通りの結末にはならなかった。その原因を考えた先にあったのがあなたの心に宿っていた闇星の力。あなたが旅を始めた理由は、平和のためでしょう?それならば、強者に勝ちたいという心によって目覚めてしまった力は、当然この物語の邪魔をする。大丈夫。まだ、未来は変えられる。今すぐその心を捨てて。そして、闇星の力は2度と使わないで。今度こそ成功するかもしれない。全てはあなたの選択次第。全員が望むハッピーエンドを一緒に目指すことを誓いますか?」
俺は、この時本当の意味で現実を知った。世界を平和にすること。ゲームの道を極めること。この二つの目標は両立できない。どちらかを捨てなければいけない。しかし、なぜだか今は、迷いはなかった。
火光「ああ!誓うぜ!俺が必ず、望み通りの結末にしてみせる!」
???「じゃあ、これからもよろしくね。」
仮面をとった少女は、エリスだった...
なぜ?エリスが何度も物語の結末を見ている?そんなことを問う時間はなかった。次第にさっきまでいた世界へ意識が移る...
to be continued
« 前の話 目次 次の話 »

この話への感想

まだ感想はありません。